入試問題を見ていると、その年の世の中の空気感や、大人が子どもたちに伝えたいメッセージがくっきりと浮かび上がってくることがあります。
今年(2026年度)の市川中学校の入試問題で出題されていた、竹端寛さんの著書『能力主義をケアでほぐす』も、まさに今の私たちが生きる社会のあり方を静かに問い直すような、とても印象的な作品でした。
「できた・できない」のモノサシだけで、苦しくなっていませんか?
「能力主義(メリットクラシー)」という言葉を、最近よく耳にします。
「努力した人が報われる」「結果を出した人がすごい」――もちろん、目標に向かってひたむきに努力することは素晴らしいことです。
けれど、この「能力主義」の風潮が強くなりすぎると、子どもたち、そして日々を生きる私たち大人の肩にも、なんだか重く息苦しい空気がのしかかってきます。
「あの子はあんなに頑張って結果を出しているのに、うちの子は……」
「こんなに一生懸命やっているのに点数が伸びないのは、やり方が悪いの? 本人の努力が足りないの?」
劣悪な環境の中からでも、自分の力で這い上がり夢を掴み取る――そんな姿は確かにドラマチックでかっこいいかもしれません。しかし、もしすべての結果を「1から100まで本人の自己責任」にしてしまったら。
うまくいかなかったとき、子どもたちは自分を責め、「自分の努力が足りないんだ」と深く傷ついてしまいます。
近年の入試問題を見ていると、こうした「競争社会の息苦しさ」や、効率や成果だけにとらわれない生き方にスポットライトが当たる場面が、本当に増えてきたように感じます。
子育ては、思い通りにならない「ままならなさ」の連続
著者である竹端さんは、子どもが生まれる前は、とても合理的な思考で生活していたそうです。しかし、実際に子どもが生まれてみると、自分の計算通りに進むことなんて何一つない。「ままならないこと」の連続でした。
どれだけ計画を立てても、子どもは急に熱を出したり、思い通りに機嫌をとれなかったりする。
そんな日々を過ごすうちに、筆者は気づきます。
「人間の人生や育ちは、効率や能力のモノサシだけで測れるものではないのではないか」と。
そして、予測できないトラブルや困難に出会ったとき、あらかじめ「余白」を用意しておくこと。本人の努力だけではどうしようもない困難に直面している人に、そっと手を差し伸べ支え合うこと。それこそが、本書のテーマである「ケア」という考え方です。
効率や競争のスピードから少し外れてしまったとき、私たちはどうありたいか。この本は、そんな大切な問いを投げかけてくれます。
一人で抱え込まないことが大事
子どもの学習を見ていると、「もっと点数を上げなきゃ」「このままじゃ遅れをとってしまうかもしれない」と、どうしても焦ってしまう瞬間があると思います。
でも、どうか忘れないでください。
お子さんの価値は、テストの点数や偏差値の数字だけで決まるものではありません。
「今日、こんなことでつまずいていたな」
「でも、昨日は諦めずに机に向かっていたな」
そうやって、お子さんの「そのままの姿」や、目に見えない小さな頑張りに目を向け、揺らぐ不安な気持ちにそっと寄り添ってあげること。それこそが、家庭の中にある何よりも温かい「ケア」なのだと思います。
正解のない子育ての途中で、ふと立ち止まりたくなったとき。この文章が、少しだけ肩の力を抜くきっかけになれば嬉しいです。
================
SEEDゼミのお問い合わせはこちら
個別説明会・無料体験授業など、気軽にお問い合わせください。
シードゼミ | 京都市桂駅前の学習塾
〒615-8074 京都府京都市西京区桂坤町14−4 クィーンズコートZ
(075)383-5075
〇近くにある小学校・中学校・高校
桂小学校 桂東小学校 立川岡小学校 樫原小学校 松陽小学校 桂徳小学校 桂川小学校 桂中学校 桂川中学校 樫原中学校 桂高校 洛西高校 成章高校