日々、子どもたちの学習に向き合っていると、「この科目がどうしても苦手なんです。どうやって勉強したらいいですか」というご相談をいただくことが多くあります。
そんなときによくあるアドバイスといえば、「まずは単元ごとに問題を解いてみて、間違えたところがあったら、その単元に戻って振り返りましょう」というものでしょう。実際、私自身も塾で質問を受けたときには、基本的にはそのようにお伝えすることがほとんどです。
しかし、ふと自身のこれまでの歩みを振り返ってみると、私自身の勉強の仕方は、それとは少し違ったものでした。
容量の良さが仇となった、かつての勉強法
思えば、中学校の途中くらいまでは、とにかく問題演習をこなして、わからないところがあれば解答解説を見て、また問題を解くというやり方で何とかなっていました。
授業をなんとなく聞いて、いざ問題を解いてみると7割〜8割くらいは解けてしまう。残りの2割、3割の分からない部分だけ解説を読んで「ああ、そういうことか」と納得し、また別の問題にあたる。今振り返れば、ただ単に記憶できる知識の量が当時のテストの形式や自分の容量にたまたま合っていただけであり、決して誇れるような勉強法ではありませんでした。
ところが、そのやり方は高校に入った瞬間に全く通用しなくなりました。
授業の解説を聞いても理解できず、問題演習の正答率は半分ほどに落ち込んでしまう。解説を読んでもその場しのぎの納得感しか得られず、今自分が何をやっているのか、全体の中でどのあたりにいるのかが全く見えなくなってしまったのです。
そこで私は、勉強のやり方を根本から変えることにしました。
まず取り組んだのは、「全体像を把握する」ということです。学校や塾の先生が説明している大枠は何なのか。私はこれをよく「頭の中に思考の棚を作る」と言っているのですが、その棚をまずしっかりと作り、どの知識をどこに整理整頓しておくべきかを考えてから、問題演習に入るようにしたのです。
すると、初めて「あ、こうやって勉強すればちゃんと身につくんだ」という手応えを得ることができました。
「帰納法」と「演繹法」、それぞれのアプローチ
こうした自身の経験をただの思い出話で終わらせるのではなく、少し体系化して考えてみたいと思います。勉強のアプローチには、大きく分けて「帰納法的」なものと「演繹法的」なものの2つがあります。
まず、多くの先生が勧める「まずは問題に当たってみて、分からないところに戻って確認する」というやり方は、まさに帰納法的な勉強です。
たくさん手を動かしたり具体的な事例に触れたりする中で、その中から共通点や法則性を自分で見出し、「こういうことだったんだ」と理解していく方法です。物事をざっくりと掴む力や、直感的に全体像を把握するセンスがある子にとっては、このやり方が最も自然で楽な道だと言えます。
しかし、努力しているのに成績が伸び悩む場合、あるいは特定の科目がどうしても苦手な場合というのは、この「自分で棚を作る力」や求められる水準に対して、自分のアプローチが噛み合っていないことが多いのです。
そこで有効になってくるのが、演繹法的な勉強です。
これは、まず全体像を知り、知識の体系や仕組みを理解した上で、具体的な問題に向き合っていくという姿勢を指します。
勉強のステップをひっくり返してみる
もし今、問題演習から入るやり方で「どうもうまくいかないな」「しっくりこないな」と感じているのであれば、思い切って勉強のステップを反対にひっくり返してみることをお勧めします。
まずはその単元にどういうジャンルがあり、どのような知識がどのような流れで整理されているのかを、テキストの解説や資料を使って先に把握してしまう。もし自分で体系化するのが難しければ、得意な先生に「この単元の全体像を整理して教えてほしい」と尋ねてみるのも良いでしょう。
全体像という「棚」を先に作り、その中に知識をきれいに収めてから、一問一答などの問題演習に向き合ってみる。実は、この演繹的なアプローチの方が得意という子どもたちも少なからず存在します。
どちらのやり方が正しい、間違いという話ではありません。
ただ、もし今のやり方で壁にぶつかっているのだとしたら、自分の才能を嘆くのではなく、「アプローチの順番を変えてみる」という選択肢を持ってみてください。難解な壁を乗り越えるための、確かな道筋が見えてくるはずです。
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