【阪急桂の学習塾】SEEDゼミ(シードゼミ)

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問題演習が先か、知識の網羅が先か――勉強のやり方を見直すための「帰納法」と「演繹法」【京都市西京区・桂駅前の塾コラム】

日々、子どもたちの学習に向き合っていると、「この科目がどうしても苦手なんです。どうやって勉強したらいいですか」というご相談をいただくことが多くあります。

そんなときによくあるアドバイスといえば、「まずは単元ごとに問題を解いてみて、間違えたところがあったら、その単元に戻って振り返りましょう」というものでしょう。実際、私自身も塾で質問を受けたときには、基本的にはそのようにお伝えすることがほとんどです。

しかし、ふと自身のこれまでの歩みを振り返ってみると、私自身の勉強の仕方は、それとは少し違ったものでした。

容量の良さが仇となった、かつての勉強法

思えば、中学校の途中くらいまでは、とにかく問題演習をこなして、わからないところがあれば解答解説を見て、また問題を解くというやり方で何とかなっていました。

授業をなんとなく聞いて、いざ問題を解いてみると7割〜8割くらいは解けてしまう。残りの2割、3割の分からない部分だけ解説を読んで「ああ、そういうことか」と納得し、また別の問題にあたる。今振り返れば、ただ単に記憶できる知識の量が当時のテストの形式や自分の容量にたまたま合っていただけであり、決して誇れるような勉強法ではありませんでした。

ところが、そのやり方は高校に入った瞬間に全く通用しなくなりました。
授業の解説を聞いても理解できず、問題演習の正答率は半分ほどに落ち込んでしまう。解説を読んでもその場しのぎの納得感しか得られず、今自分が何をやっているのか、全体の中でどのあたりにいるのかが全く見えなくなってしまったのです。

そこで私は、勉強のやり方を根本から変えることにしました。
まず取り組んだのは、「全体像を把握する」ということです。学校や塾の先生が説明している大枠は何なのか。私はこれをよく「頭の中に思考の棚を作る」と言っているのですが、その棚をまずしっかりと作り、どの知識をどこに整理整頓しておくべきかを考えてから、問題演習に入るようにしたのです。

すると、初めて「あ、こうやって勉強すればちゃんと身につくんだ」という手応えを得ることができました。

「帰納法」と「演繹法」、それぞれのアプローチ

こうした自身の経験をただの思い出話で終わらせるのではなく、少し体系化して考えてみたいと思います。勉強のアプローチには、大きく分けて「帰納法的」なものと「演繹法的」なものの2つがあります。

まず、多くの先生が勧める「まずは問題に当たってみて、分からないところに戻って確認する」というやり方は、まさに帰納法的な勉強です。
たくさん手を動かしたり具体的な事例に触れたりする中で、その中から共通点や法則性を自分で見出し、「こういうことだったんだ」と理解していく方法です。物事をざっくりと掴む力や、直感的に全体像を把握するセンスがある子にとっては、このやり方が最も自然で楽な道だと言えます。

しかし、努力しているのに成績が伸び悩む場合、あるいは特定の科目がどうしても苦手な場合というのは、この「自分で棚を作る力」や求められる水準に対して、自分のアプローチが噛み合っていないことが多いのです。

そこで有効になってくるのが、演繹法的な勉強です。
これは、まず全体像を知り、知識の体系や仕組みを理解した上で、具体的な問題に向き合っていくという姿勢を指します。

勉強のステップをひっくり返してみる

もし今、問題演習から入るやり方で「どうもうまくいかないな」「しっくりこないな」と感じているのであれば、思い切って勉強のステップを反対にひっくり返してみることをお勧めします。

まずはその単元にどういうジャンルがあり、どのような知識がどのような流れで整理されているのかを、テキストの解説や資料を使って先に把握してしまう。もし自分で体系化するのが難しければ、得意な先生に「この単元の全体像を整理して教えてほしい」と尋ねてみるのも良いでしょう。

全体像という「棚」を先に作り、その中に知識をきれいに収めてから、一問一答などの問題演習に向き合ってみる。実は、この演繹的なアプローチの方が得意という子どもたちも少なからず存在します。

どちらのやり方が正しい、間違いという話ではありません。
ただ、もし今のやり方で壁にぶつかっているのだとしたら、自分の才能を嘆くのではなく、「アプローチの順番を変えてみる」という選択肢を持ってみてください。難解な壁を乗り越えるための、確かな道筋が見えてくるはずです。

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子どもの成長と、親のまなざし――渋谷教育学園渋谷中学校の入試問題から考える【京都市西京区・桂駅前の塾コラム】

日々、子どもたちの学習に向き合っていると、胸を突かれるような鮮やかなテーマを描いた文章に出会うことがあります。中学入試という扉の向こうには、時として大人が深く考えさせられるような、豊かな物語が用意されているものです。

今年(2026年度)、渋谷教育学園渋谷中学校の入試問題で出題されていた、前川ほまれさんの『臨床のスピカ』という作品も、まさに親子のあり方や人間の成長を静かに問いかけるような素晴らしい一冊でした。

「何とかしなきゃ」という焦りと、すれ違う思い

物語の主人公は、小児がんの治療のために入院している5歳の女の子・さなちゃんです。
病院では、動物と触れ合うことで治療をサポートする「ファシリティドッグ」のような取り組みが導入されています。しかし、まだ5歳という幼さで長期の入院生活を送るさなちゃんにとって、病院は不安でいっぱいの場所です。

「お家に帰りたい」
放射線治療やCTスキャンといった検査も、怖くてたまらないから嫌だと泣き叫ぶ。そんな我が子の姿を目の当たりにして、「どうすればこの子を励ましてあげられるのだろう」「どうやって乗り越えさせたらいいのだろう」と、父親は必死に奮闘します。

はじめの頃の父親は、何とか先の見通しを見せ、それをエサにして目の前の治療を頑張らせようとしていました。しかし、子どもは親の計算通りには動いてくれません。どうしてもうまくいかない焦りの中で、父親は動物セラピーのサポートをしている女性と言葉を交わします。

「先のビジョンを見せて、今の治療を頑張らせたいのに、なかなかうまくいかないんです」という父親の愚痴に対し、サポーターの女性はこう優しく語りかけます。

入院している時間も、その子にとってはかけがえのない立派な成長の時間であること。そして、ただ大人の都合で嫌がる治療を無理やり受けさせるのではなく、本人が自ら前向きに治療に向き合えるような関わりが大切なのだと。

これまでの父親は、子どもが暴れてしまうからと、安定剤で眠らせている間に検査を済ませてしまうような方法をとっていました。しかし、その言葉にハッと気づかされるのです。「嫌がる娘をなんとかゴールへ向かわせようとするのではなく、娘自身が自分の足で向き合えるように支えることこそが重要なのだ」と。

小さな冒険のなかで見えた確かな成長

その後、セラピー犬の力を借りて、さなちゃんは病院の中を「冒険」することになります。
はじめは及び腰だったさなちゃんですが、犬と一緒に歩くなかで、これまで怖がっていた放射線治療の部屋の前を通りかかります。「ちょっと頑張ってみる」――それは、誰かに言われたからではなく、娘自身が自分の意志で下した小さな決断でした。

その姿を見たとき、父親は我が子の確かな成長を実感します。
物語の最後、入院中にさなちゃんが書いたポスターの文字を目にするシーンがあります。以前よりも少しだけ綺麗に書かれたその字を見て、父親は気づくのです。長期の入院という過酷な環境のなかで、この子は確実に大きくなっているのだと。

一見すると、病と闘う子どもが主人公の物語に思えるかもしれません。しかし、この文章の本質は、むしろ「父親の物語」なのです。

苦しむ娘を何とかして救いたい、自分の力で元に戻してあげたいと焦っていた父親が、周囲の人々との対話や娘の姿を通して視点を変えていく。子どもをただ守るべき存在としてではなく、自ら困難と向き合う一人の人間として見つめ直し、親自身もまた親として成長していく。その内面的変化の軌跡が、実に鮮やかに描かれています。

受験生に求められる「大人の心情」の読解

子どもたちにとって、物語のなかにいる「親の視点」や「大人の心情」を正確に読み解くことは、実は非常に難しいものです。

中学受験の国語において、子どもたちがよくつまずくポイントがいくつかあります。恋愛感情の機微、自分とは異なる立場や境遇にある人の気持ち、そして「親が子を思う気持ち」。この『臨床のスピカ』は、そのなかでも特に捉えにくい「親の側の葛藤と成長」を、非常に美しく、かつ厳しく切り取って出題しています。

「なぜ父親はここでこういう言動をとったのか」
「そのとき、父親のなかで何がどう変わったのか」

子どもたちは、登場人物の表面的な行動だけでなく、その背景にある大人の複雑なやり取りや心情の変化までを読み解かなければなりません。そこを真正面から問うてくるあたりに、渋谷教育学園渋谷中学校という学校の、妥協のない深い出題意図を感じずにはいられません。

難解ではありますが、だからこそ読んだあとに心に深く残る、素晴らしい文章です。機会があれば、ぜひ手に取ってページをめくってみてください。

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「正直者」って、本当はどういうこと?中学校の入試問題から考える、哲学的な問い【京都市西京区・桂駅前の塾コラム】

日々、子どもたちの学習に向き合っていると、大人が読んでもはっとさせられるような、深みのある文章に出会うことが多々あります。中学入試という扉の向こうには、時として大人がハッとさせられるような世界が広がっているものです。

今年(2026年度)、洗足学園中学校の入試問題で出題されていた、池田隆さんの『「嘘をつく」とはどういうことか 哲学から考える』という作品も、まさに私たちの固定観念を静かに揺さぶるような一冊でした。

「バカ正直」の向こう側にあるもの

「正直者は嘘をつかない」というのは、私たちが幼い頃から当たり前のように教えられてきた価値観です。一見するとその通りであり、正直であることが尊いのは言うまでもありません。

しかし、どんな場合でも例外なく一切の嘘をつかないとしたらどうでしょうか。例えば、自分の命や近しい人の命が危機にさらされている極限の状況においてすら、真実をそのまま口にする。それが本当に「正直」と言えるのかどうか、少し立ち止まって考えてしまいます。むしろ、そうした融通のきかない態度のことは、「バカ正直」と表現されることの方が多いはずです。

では、本当の意味での「正直」とは一体何なのか。この作品は、私たちが普段疑問すら抱かない感覚に、哲学的なメスを入れていきます。

作中では、ドイツの教育哲学者オットー・ボルノによる「率直」と「正直」の定義が紹介されています。これが非常に示唆に富んでいます。

いわゆる「バカ正直」に該当するのが、「率直」という状態です。これは、まだ自分の中で成熟しきっておらず、頭に浮かんだことをすべてそのまま言葉にしてしまう未熟な段階を指します。自分の中で「今は言うべきか、言わないべきか」という判断基準や意思決定がまだ備わっていない状態です。

それに対して「正直」とは、自分が言いたいことを言って相手との関係を壊してしまうか、それともあえて言わないでおくべきか、その高度な判断ができる状態のことだといいます。つまり、状況を冷静に見極め、時には「あえて言わないでおく(=嘘をつく)」という選択肢すら内包しているのが、真の意味での正直者なのだと説かれているのです。

ただ思ったことをそのまま口にするのではなく、「言うべきか、言わないべきか」を自分の中で引き受け、たとえ一時的に嘘をついてしまったとしても、そのあとに誤解を解くために誠実に向き合おうとする。そうした精神性こそが、本当の正直さなのだと気づかされます。

未知のものに出会う面白さ

こうした哲学をテーマにした文章は、子どもたちにとって決して容易なものではありません。普段から当たり前だと思っている世界観をひっくり返されたり、概念を細分化して考えさせられたりする展開は、どうしても難解に感じられてしまいます。

「正直って、嘘をつかないことでしょ?」 そう捉えている子どもに対して、「いや、嘘をつける方が正直かもしれない」と投げかけても、最初は戸惑うばかりでしょう。興味が持てなければ、「よくわからない文章だ」で終わってしまうかもしれません。

しかし、そこで「どういうことだろう」「もっと知りたい」と思えるかどうか。その好奇心の有無は、どこから生まれるのでしょうか。

未知のものに出会ったとき、自分とは異なる考え方に触れたとき、それに心を閉ざすのではなく、自ら歩み寄っていく。そうした姿勢は、単に受験勉強の枠を超えて、人生を豊かにするための確かな土台となります。

当たり前を疑うということ

日々の忙しさの中で暮らしていると、「こうあるべきだ」「これが正しい」というモノサシで物事を測ってしまいがちになります。

だからこそ、時には少し立ち止まり、「本当にそうだろうか?」と自らのなかの前提を疑ってみる。そんな哲学的な視点にふと触れてみるだけでも、見慣れた景色は少しずつ違った深みを持って見えてくるものです。

答えがすぐに出ない問いに向き合う時間は、決して無駄ではありません。難解な入試問題の向こう側には、思考を深めることの純粋な楽しさがそっと隠されています。

 

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「うちの子、頑張っているのに…」その不安の正体は?中学校の入試問題から考える、これからの子育て【京都市西京区・桂駅前の塾コラム】

入試問題を見ていると、その年の世の中の空気感や、大人が子どもたちに伝えたいメッセージがくっきりと浮かび上がってくることがあります。

今年(2026年度)の市川中学校の入試問題で出題されていた、竹端寛さんの著書『能力主義をケアでほぐす』も、まさに今の私たちが生きる社会のあり方を静かに問い直すような、とても印象的な作品でした。

「できた・できない」のモノサシだけで、苦しくなっていませんか?

「能力主義(メリットクラシー)」という言葉を、最近よく耳にします。
「努力した人が報われる」「結果を出した人がすごい」――もちろん、目標に向かってひたむきに努力することは素晴らしいことです。

けれど、この「能力主義」の風潮が強くなりすぎると、子どもたち、そして日々を生きる私たち大人の肩にも、なんだか重く息苦しい空気がのしかかってきます。

「あの子はあんなに頑張って結果を出しているのに、うちの子は……」
「こんなに一生懸命やっているのに点数が伸びないのは、やり方が悪いの? 本人の努力が足りないの?」

劣悪な環境の中からでも、自分の力で這い上がり夢を掴み取る――そんな姿は確かにドラマチックでかっこいいかもしれません。しかし、もしすべての結果を「1から100まで本人の自己責任」にしてしまったら。
うまくいかなかったとき、子どもたちは自分を責め、「自分の努力が足りないんだ」と深く傷ついてしまいます。

近年の入試問題を見ていると、こうした「競争社会の息苦しさ」や、効率や成果だけにとらわれない生き方にスポットライトが当たる場面が、本当に増えてきたように感じます。

子育ては、思い通りにならない「ままならなさ」の連続

著者である竹端さんは、子どもが生まれる前は、とても合理的な思考で生活していたそうです。しかし、実際に子どもが生まれてみると、自分の計算通りに進むことなんて何一つない。「ままならないこと」の連続でした。

どれだけ計画を立てても、子どもは急に熱を出したり、思い通りに機嫌をとれなかったりする。
そんな日々を過ごすうちに、筆者は気づきます。

「人間の人生や育ちは、効率や能力のモノサシだけで測れるものではないのではないか」と。

そして、予測できないトラブルや困難に出会ったとき、あらかじめ「余白」を用意しておくこと。本人の努力だけではどうしようもない困難に直面している人に、そっと手を差し伸べ支え合うこと。それこそが、本書のテーマである「ケア」という考え方です。

効率や競争のスピードから少し外れてしまったとき、私たちはどうありたいか。この本は、そんな大切な問いを投げかけてくれます。

一人で抱え込まないことが大事

子どもの学習を見ていると、「もっと点数を上げなきゃ」「このままじゃ遅れをとってしまうかもしれない」と、どうしても焦ってしまう瞬間があると思います。

でも、どうか忘れないでください。
お子さんの価値は、テストの点数や偏差値の数字だけで決まるものではありません。

「今日、こんなことでつまずいていたな」
「でも、昨日は諦めずに机に向かっていたな」

そうやって、お子さんの「そのままの姿」や、目に見えない小さな頑張りに目を向け、揺らぐ不安な気持ちにそっと寄り添ってあげること。それこそが、家庭の中にある何よりも温かい「ケア」なのだと思います。

正解のない子育ての途中で、ふと立ち止まりたくなったとき。この文章が、少しだけ肩の力を抜くきっかけになれば嬉しいです。

 

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